レーザドップラ振動計
レーザドップラ振動計は変位および速度を高分解能で測定する最良の方法で、多くの基礎科学分野で使用されています。その振幅分解能はフェムトメートルを実現しており、線形性に優れ、従って1GHz以上に達する非常に高い周波数帯域まで測定できます。測定距離は可変であり、最小は顕微鏡サイズから最大は百メートルに及びます。レーザを照射しても測定物に影響を与えず、極めて小さくて軽量な構造物も測定することができます。また頑丈な設計を施しているので、屋内でも屋外でも使用可能です。
Application note vibrations in nature and technology
物理的原理はいつも同様です。

振動するオブジェクトから反射した光の波を LDV で測定するとき、測定した波の周波数シフトは次の式で表されます。
fD = 2· v/λ
「v」 は振動するオブジェクトの速度、「λ」 は照射された光の波長です。オブジェクトの速度を知るには、(ドップラ)周波数シフトを既知の波長で測定する必要があります。これは、LDV で、レーザ干渉計によって測定できます。
LDV は、光学干渉に基づき計測します。光学干渉では、重ね合わせに 2 本の可干渉性のビームが必要であり、それぞれの光の強度を 「I1」 および 「I2」 とします。求められる強度は各ビームの強度の和ではなく、いわゆる 「干渉項」 を含む次の式によって変調されます。
Itot = I1 + I2 + 2 √(I1 I2 cos [2π(r1 - r2)/λ]
この干渉項は、両ビームの光路の長さの差に関係します。この差がレーザ波長の整数の積であるとき、全体の強度は単一のビームの 4 倍になります。 またしたがって、両ビームの光路の差が、1 つの波長の半分であるとき、全体の強度はゼロになります。
冒頭の図では、この物理法則が LDV でいかに有効に活用されているかが分かります。
ヘリウムネオン レーザビームは、ビームスプリッタ (B1) により、参照ビームと測定ビームの 2 本に分光されます。測定ビームは 2 つ目のビームスプリッタ (B2) を透過してから、測定するオブジェクトに照射され、反射します。この反射したビームは次に、図のように B2 によって異なる方向に偏光され、3 つ目のビームスプリッタ (B3) により参照ビームと結合されます。結合されたビームは、ディテクタに向かって照射されます。
参照ビームの光路長は、時間に対して (干渉計のわずかな熱効果を除いて) 一定であるため (r2 = 定数)、測定オブジェクトの運動 (r1 = r(t)) により、ディテクタ上に暗い部分と明るい部分からなる模様 (フリンジ) が発生します。これは 「干渉縞」 と呼ばれる典型的な干渉計の現象です。 ディテクタに現れる 1 つの明暗の縞は、使用している光の波長のちょうど 1/2 のオブジェクトの変位に相当します。LDV にはほぼヘリウムネオン レーザが用いられていますが、これは 316 nm の変位に相当します。
単位時間当たりの光路長の変化は、測定ビームのドップラー周波数として現れます。これは、測定された干渉縞の変調周波数が、オブジェクトの速度に正比例することを意味します。干渉縞 (および周波数シフト) は、オブジェクトが干渉計から遠ざかるときも、逆にオブジェクトが干渉計に近づくときも全く同じのため、干渉縞だけではどちらの方向に動いているのかを判断することはできません。これを判断するため、参照ビームの光路上に Bragg Cell と呼ばれる音響光学変調器が設けられています。Bragg Cell により、光の周波数は 40 MHz シフトします (ちなみにレーザ光の周波数は 4.74 x 1014 Hz です)。このため、オブジェクトが静止状態のとき、干渉縞に 40 MHz の変調周波数が発生します。オブジェクトが干渉計に近づくとき、この変調周波数は 40 MHz よりも低くなります。逆に遠ざかるときは、40 MHz よりも大きくなってディテクタで検出されます。これにより、振動の振幅量だけでなく、オブジェクトがどちらの方向に振動しているのかも明確に検知できます。
LDV は速度と同様に変位も直接測定できます。この場合、ドップラ周波数は速度に比例する電圧には変換されず、かわりに LDV はディテクタ上の明暗の縞をカウントします。最適な補間方法を採用することにより、ポリテックの LDV は 2 nm という微細な振幅分解能で収集でき、さらにデジタル復調技術を用いる場合にはピコメータ レンジまで実現できます。なお、調和振動の最大振幅は次の式で表されるため、変位の復調は周波数が低いほど、速度の復調は周波数が高いほど適しています。
v = 2π • f • s
振動は、周波数が高くなるほど速度が速くなり、変位振幅は小さくなります。
ストロボスコープビデオ顕微鏡
ストロボスコープビデオ顕微鏡(SVM)は、短時間の光を用いて急激な動きを可視化するシステムであり、コンポーネントレベルでの高周波振動を視覚化できます。
時間分解能は、LEDストロボのフラッシュパルス幅によって決定されます。時間分解能が高いとカメラが非常に高速な動きをよりはっきりと記録することができます。ストロボがオフの場合、CCDセンサは画像をキャプチャすることができません。ストロボがオンになり選択された移動フェーズ中にのみ光が記録されます。また、カメラの最短露光時間。サンプルを振動させる励起信号、カメラの露光時間は、正確に同期されなければなりません。下の画像は、周期的な振動する測定物の2つの異なるフェーズ中の2つのカメラショットの例を取って、PMAソフトウェアを同期させるための時間ダイアグラムを示しています。
レーザードップラー振動計との組み合わせ
SVMとLDVの組み合わせシステムを使用して、XYZ空間における全方向に振動する測定物の機械的共振を測定できます。
レーザドップラ振動計のレーザビームとストロボ光は、ビームスプリッタユニットを用いて一体型顕微鏡レンズのビーム経路に結合される。 コンピュータは、信号発生器および振動計コントローラと協働して、レーザビームの動き(スキャニングLDV)、ストロボ照明、干渉信号およびカメラ画像の処理、および必要に応じて試料励起も制御します。 測定結果は、高性能システムソフトウェアを使用して最終的に評価され、グラフィック表示されます。
組み合わされた方法は、マイクロメカニカルコンポーネント(MEMS)の特徴付けに関して特に重要です。

レーザドップラ振動計の基本である 「シングルポイント振動計」 は、物体表面のある 1 点での振動量を非接触で計測します。シングルポイント振動計のセンサ部から、振動する物体の表面に 1 本のレーザ光を照射すると、ドップラー効果により、その振動に応じてレーザ光の周波数がシフトして反射します。反射したレーザ光は、再びセンサ部で感知され、周波数のシフトに基づき演算部で振動量が計算されます。レーザ光と同じ方向の振動は 「面外振動」 と呼ばれるため、レーザドップラ振動計は 「面外振動計」 とも呼ばれます。シングルポイント振動計は、顕微鏡用途から遠距離測定まで幅広く使用できます。振幅や伝達関数を測定することができます。非接触の実稼動振動モードの測定において、シングルポイント振動計はスキャニング測定時の位相を参照する目的で使用されることもあります。スキャニング振動計は定常振動を測定するために使用します(別のセッションを参照)。
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差動振動計は、2つの測定ポイントにおける振動の差分を測定できます。測定原理は以下のとおりです。
- 差分はダイレクトに測定できます(レーザは測定物に照射された後、干渉計の参照光と重ね合わされます)。 この利点は、減算の間に絶対位相の正確度が保たれることであり、特に高周波数測定に適しています。
- 差分は2つの独立した干渉計で電子的に計算されます。よって2点それぞれの振動を測定するこなど柔軟な測定が可能です。
面内振動計は、測定軸に垂直な振動と運動の測定値を表します。 面内振動計は、例えば、ピストン、バルブシャフトまたはツールのストローク動作を非接触で検出し、非常に動的な歪み測定に使用されます。
回転振動計は、回転構造物の回転振動の角速度および角変位の測定が可能です。例えば、ドライブトレイン、ガスタービン、発電機、プリンタ及びコピー機の回転ダイナミクスを分析することができます。
動的または過渡現象の振動モードを検出する必要がある場合は、さまざまな振動センサの同期測定が重要です。 スキャニング振動計とは対照的に、すべての光チャネルにおいて、同じ瞬間に測定されます。 このマルチセンサ手法により、時間領域と周波数領域の両方で結果を分析することができます。
スキャニング振動計は、レーザビームで測定物表面の複数の測定ポイントを連続的にスキャンする振動計です。 この結果、各測定ポイントにおいて伝達関数が得られます。 FFTでは、振動モードが得られます。時間軸測定を行うと実稼動の振動のアニメーションを見ることができます。
動的または過渡現象の振動モードを検出する必要がある場合は、さまざまな振動センサの同期測定が重要です。 スキャニング振動計とは対照的に、すべての光チャネルにおいて、同じ瞬間に測定されます。 このマルチセンサ手法により、時間領域と周波数領域の両方で結果を分析することができます。
Basic principles of Laser Doppler Vibrometry
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